老農 加藤由兵衛君之碑
   ろうのう
  かとう よしべえ くん    の   ひ


【顕彰碑】老農加藤由兵衛君之碑

「老農加藤由兵衛君之碑」
明治期の桜村の農業指導者・加藤由兵衛氏の顕彰碑。(桜町南区内印の位置)

(「四日市市公開型GIS」に文字等挿入。責任・eitaki)


老農加藤由兵衛君の石碑
老農加藤由兵衛君の碑・・・拓本


 老農加藤由兵衛君之碑

(碑陰)

























「老農加藤由兵衛君之碑」の大意
  • 篆額(てんがく)
       「老農加藤由兵衛君之碑」(三重郡長伊東祐賢筆)
     
  • 碑表・・・大意
    君の生前の実名は清信、通称由兵衛、又は幸穂と称した。(幸穂は、本名とは別に使用した雅号)姓は加藤氏で、櫻村に生まれ、早くから穀物の増産に尽力し生産物を増やすことを目指した。
    朝早くから、田畝(でんぽ。田畑の意味)を耕して雑草を取り去り作物を作り、夜は農業に関する書物を紐解き、施肥の方法、害虫の駆除方法を探求した。
    君が最も苦心したことは、米と麦の耕作であった。
    田を深く耕すほど高収穫が得られること。また、麦を撒く時は土壌の通気性と透水性を良くするため、土をよく耕し畝を高くすると良いこと。
    また、田の畔(あぜ)に蚕豆(そらまめ)を撒くと収益を得られることを知った。
    こうして、各村の農家がそれを見習い、その農法は広がり、皆がその恩恵に浴した。
    また当時、勧業博覧会が開催される時は、いつも村内の優れた農業技術は君の指導によるものであって、出品した農産物等が入賞する事は枚挙に暇がない。
    明治27年(1894年)八月、病魔に襲われ享年65歳で逝去。
    皆涙を流し哀惜の念に耐えず、郡内篤農の士相計り彼の功徳を称え、その事績を不朽に伝えるため此処に石碑を建てる。

       明治二十七年九月
             寒松山本兄熊拝識
             近清江小成之書丹
     
  • 碑陰・・・・・・発起人 農話会員


「説明板」老農加藤由兵衛翁の碑



平成23年度(2011)桜地区文化祭にて「桜郷土史研究会の挨拶文」   

                            (書・桜郷土史研究会代表石川清之
 挨拶文・・・「老農」についての解説  
  • 老農(ろうのう)とは、農事に熟達し、識見の優れた農家出身の農業指導者です。
  • 明治維新前後に、その人たちによって、農書の頒布、農事の指導、優良品種の種子の種子交換会、共進会、農話会等が開かれ、経験の交流が自発的に行われていました。
  • 明治政府は、農業指導者を選び、各地に巡回指導に当たらせ、のちにその人達を「老農」「篤農(とくのう)家」又は「精農(せいのう)」と呼び、その人達を賞賛しました。
  • 当時の桜の村にも、老農と称慕(しょうぼ)された加藤由兵衛さんが居られ、桜の南区地内に顕彰碑(けんしょうひ)が建立されて居る事を知りました。
  • 碑表は、時の三重郡長伊東祐賢による篆額(てんがく)、また碑文は翁の業績を敬慕(けいぼ)した有志によって綴られています。
  • また、三重県史編さんグループより資料を頂きました。
  • 平成二十三年度文化祭出品にあたり、加藤由兵衛さんの功業の品を提供いただきましたご一族様に御礼申し上げますと共に、故郷桜への由兵衛さんの功庸(こうよう)に感謝致します 
              桜郷土史研究会  (書・代表石川清之) 
 【註】老農とは  (出典・『日本史辞典』岩波書店)
  • 農事に熟達し、農業技術の改良や普及に勤めた指導的農民。
    既に、江戸期から品種や農業技術の改良に努め、農書などを残す人がいたが、明治維新後、西洋農法の導入一辺倒から、在来農法重視に転じた政府の勧農方針に沿って、地域の老農の役割も高まった。
    1881年、全国農談会に、著名な老農120名が招集されたのをはじめ、各地の農談会に出席したり、巡回教師として活躍した。
    これらの活動が、系統農会(→農会)の整備と相まって、明治農法の基礎を築いた。
    稲の品種改良で知られた中村直三、産米改良に功があった奈良専ニ、駒場農学校から農商務省の巡回教師となった船津伝次平が、明治の3老農とよばれたほか、勤倹力行を実行した石川理紀之助などが有名。


加藤由兵衛氏関連資料  

(1)老農加藤由兵衛氏の関係資料
 
(資料提供・三重県史編さんグループ) 


「加藤由兵衛さん関係の資料について」(提供・三重県史編さんグループ)のPDFファイルはここから


(2)老農加藤由兵衛氏が授与された賞状

                             (作成・桜郷土史研究会鈴木健一氏)

「老農加藤由兵衛氏が受賞した賞状など」のPDFファイルはここから


加藤由兵衛氏の偉大な功績・・・賞状の一部と農学書 
平成23年度(2011)桜地区文化祭展示物の一部
  
 (多数ご展示いただきました中から、一部ご紹介させていただきます)



 賞状 
  四等賞 籾 
  明治19年3月
  「三重朝明郡農産品評会」
 賞状
  五等賞 黒砂糖 
  明治20年3月9日
  「三重朝明郡農産品評会」


 賞状
  三等賞 裸麦  
  明治20年9月
  「三重朝明郡農産品評会」
 賞状
  三等賞 籾
  明治21年3月1日
  「三重朝明郡農産品評会」


 褒賞授與證
  籾 壹等賞 鍬壹梃
 明治21年3月9日
 「三重縣種苗交換會」
 三重朝明郡第三区勧業委員当選に付き・・・
  明治23年2月22日
  「三重朝明郡長酒井禮一」

 一金五圓
  三重朝明両郡農事試験場耕夫勤務中業務勉励・・・
  明治24年4月9日
  「三重朝明両郡町村組合會管理者
  三重朝明郡長酒井禮一」
 賞状 壱等賞
  貴下多年農事に熱心にして・・・
  明治25年3月14日
  「三重朝明安芸河曲郡連合農産品評會」


 褒状
  多年精良茶の製造に従事し能く規約を遵守し・・・
  明治26年12月10日
 「三重朝明郡長正七位酒井禮一」
 明治十三年・・・農家参考書
   明治二十九年頃・・・農學入門書


2011年11月27日桜連合文化祭
場所:桜小学校体育館 ~展示の前で~
加藤由兵衛氏の御子孫様(右側)と 故石川代表
(文化祭当日撮影2011.11.27)

 謝辞:老農加藤由兵衛氏の御子孫様には、貴重な資料を多数ご出展頂き誠に有難うございました。
                                                               

(参考文献:『日本史辞典』岩波書店、 資料提供「三重県史編さんグループ」、展示物・老農加藤由兵衛氏の表彰状及び関係本等)