平成23年度(2011)桜地区文化祭にて「桜郷土史研究会の挨拶文」
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(書・桜郷土史研究会代表石川清之)
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挨拶文・・・「老農」についての解説
- 老農(ろうのう)とは、農事に熟達し、識見の優れた農家出身の農業指導者です。
- 明治維新前後に、その人たちによって、農書の頒布、農事の指導、優良品種の種子の種子交換会、共進会、農話会等が開かれ、経験の交流が自発的に行われていました。
- 明治政府は、農業指導者を選び、各地に巡回指導に当たらせ、のちにその人達を「老農」「篤農(とくのう)家」又は「精農(せいのう)」と呼び、その人達を賞賛しました。
- 当時の桜の村にも、老農と称慕(しょうぼ)された加藤由兵衛さんが居られ、桜の南区地内に顕彰碑(けんしょうひ)が建立されて居る事を知りました。
- 碑表は、時の三重郡長伊東祐賢による篆額(てんがく)、また碑文は翁の業績を敬慕(けいぼ)した有志によって綴られています。
- また、三重県史編さんグループより資料を頂きました。
- 平成二十三年度文化祭出品にあたり、加藤由兵衛さんの功業の品を提供いただきましたご一族様に御礼申し上げますと共に、故郷桜への由兵衛さんの功庸(こうよう)に感謝致します
桜郷土史研究会 (書・代表石川清之)
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【註】老農とは (出典・『日本史辞典』岩波書店)
- 農事に熟達し、農業技術の改良や普及に勤めた指導的農民。
既に、江戸期から品種や農業技術の改良に努め、農書などを残す人がいたが、明治維新後、西洋農法の導入一辺倒から、在来農法重視に転じた政府の勧農方針に沿って、地域の老農の役割も高まった。
1881年、全国農談会に、著名な老農120名が招集されたのをはじめ、各地の農談会に出席したり、巡回教師として活躍した。
これらの活動が、系統農会(→農会)の整備と相まって、明治農法の基礎を築いた。
稲の品種改良で知られた中村直三、産米改良に功があった奈良専ニ、駒場農学校から農商務省の巡回教師となった船津伝次平が、明治の3老農とよばれたほか、勤倹力行を実行した石川理紀之助などが有名。
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